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2022年5月の事業承継M&Aマーケット概況 ~人手不足が継続する警備業界〜

月刊事業承継M&Aレポート

2022.06.16

 2022年5月のM&A件数は353件で、前年同月比8.0%の増加となった。マーケット別ではIN-INが265件、前年同月比8.2%増、IN-OUTは55件、同11.3%減、また、OUT-INは33件、同65.0%増であった。同月の事業承継M&A(注1参照)は58件、前年同月比26.1%増であり、このうち警備業界に関わるM&Aが2件あった。うち1件は買収金額約271億円という比較的規模の大きい案件であった。

 東証スタンダード上場の東洋テックは、警備業、建物管理業の五大テック(大阪府)を買収する(発表は2022年4月28日)。個人1人から全株式を取得する。同社は1990年設立、売上高約24億8,100万円。東洋テックはグループの警備事業、ビル管理事業との一体運営や人的資源を相互に活用することでシナジーを発揮させる。

 東証プライム上場のセコムは、警備業のセノン(東京都)を買収する。社長等15人、法人1社から270億5,900万円で55.1%の株式を取得する。セノンは1969年設立、売上高343億3,100万円。常駐警備業務や機械警備業務、航空保安業務、車両運行管理業務など広範にわたり事業を全国展開している。特に常駐警備業務では大型商業施設やビルの警備を得意とする。航空保安業務では東京国際空港や成田国際空港など全国35空港に業務を提供している。セコムは機械警備や常駐警備、現金護送も含めた総合セキュリティ企業として業容拡大を目指す。

 警察庁によると2020年末の警備業者数は10,113であり、このうち警備員数100人未満の警備業者は9,056業者で全体の約9割を占めている。売上高ベースの市場シェアではセコム、綜合警備保障の2社で約25%を占めるが、これ以外の警備会社については各社とも2%に満たないという。市場の寡占度は低いと考えられる。

 
 労働条件が厳しいことなどにより、警備員の人手不足は恒常的と言われている。実際、厚生労働省の一般職業紹介状況をみると、「保安の業務」の2022年4月の有効求人倍率は5.37倍という高さである。前述した買い手側からみれば事業の拡大及び強化、売り手側からみれば経営の安定化につながるようなM&Aは、今後も活発に行われそうである。


(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

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