2018年4月公表のM&A件数は332件あり、前年同月比43.7%増であった。マーケット別ではIN-INが252件、前年同月比53.7%増、IN-OUTは57件、前年同月比11.8%増、また、OUT-INは23件で、前年同月比43.8%増となった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは38件(注参照)あり、運輸・倉庫業界の企業が買い手のM&Aが3件あった。以下は、このうちの物流会社によるM&A 2件である。

 

福山通運は、貨物運送業のキタザワ(東京都)を買収する。既存株主から51%の株式を取得する。同社は1998年にキタザワ引越センター(同)を設立し、引越し事業に進出。首都圏を中心に拡大を続けている。福山通運は引越し事業の拡大を検討してきた。キタザワからノウハウや情報の提供を受けることで事業売上高の拡大を目指す。営業車両関連や引越し資材などの共同購入でコスト低減を図る。キタザワは福山通運の全国ネットワークを活用することで、営業エリアを広げ、事業規模の拡大を目指す。

トナミホールディングスは、運送業のケーワイケー(千葉県)を6月1日付で買収する。個人株主1人から全株式を取得する。同社は売上高約15億円。トナミHDはケーワイケーの実運送力や地域密着型の配送サービスのノウハウを活かし、グループの事業力強化を図る。新たな企業価値創造や輸送サービスの高度化促進など、事業拡大面でのシナジー効果を見込む。

 

ネット通販等、物販系のEC市場の拡大に伴い、貨物の取り扱いが急増する中、日本の物流業は、他の業界に比べて、従業員(ドライバー)の高齢化や人手不足(後継者難を含む)等の急激な進展が指摘されているが、事業承継M&Aはこれらの問題の解消に有効な手段の一つと考えられる。また、中堅・中小の事業者が多い同業界では、統合による経営資源の共有や規模、事業地域の拡大による効率化等を目的としたM&Aの動きもみられており、同業界でのM&Aは今後も増えてくるものと考えられる。
 

(注)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる

IN-IN : 日本企業同士のM&A

IN-OUT: 日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A

OUT-IN: 外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。

ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。

公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む