2019年5月公表のM&A件数は333件であり、前年同月比で6.7%の増加となった。マーケット別では、IN-INが242件で前年同月比7.1%増、IN-OUTも72件で前年同月比14.3%増、一方、OUT-INは19件と前年同月比17.4%減となった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは52件(注1参照)であり、製造業に関わるM&Aが20件含まれていた。

以下は、製造業が販売強化のためにEコマース企業を買収したケースと、専門商社が機能強化のために製造業を買収したケースである。

 機能性食品・化粧品製造のユーグレナは、IT×ヘルスケアベンチャーのMEJ(東京都)を買収する。完全子会社化する。代表取締役等から株式を取得する。MEJは2008年設立、売上高7億2100万円、従業員2人。若い女性向けブランド「AGEST」などの健康食品・化粧品などをオンライン専門で展開する。ユーグレナはマーケティング機能を全社横断的に強化するための取り組みに着手している。オンライン分野での両社の直販の成長を加速させる。

 化学品商社の三洋貿易は、工業用各種ポンプ機器製造販売の新東洋機械工業(埼玉県)を買収する。個人から全株式を取得する。同社は1981年設立、売上高4億1200万円。ゴムライニング、テフロンライニング、チタン、ニッケル材料に特化した耐蝕ポンプの製造販売、メンテナンスを手がける。特にゴムライニング製ポンプは世界のニッチトップとなっている。三洋貿易は全額出資子会社の三洋古江サイエンス(埼玉県)で展開するマイクロポンプ事業との相乗効果、海外ネットワークを活用した海外拡販を見込む。

 2019年1~5月の事業承継M&Aは258件となり、前年同期に比べて19%増加した。この間、製造業買い手の件数は67件、前年同期比46%増、また、製造業売り手の件数は82件、前年同期比24%増となり、全体の増加率を上回っている。この中には製造業同士だけではなく前述のような製造業と非製造業のM&Aも少なくない。事業承継M&Aの公表業種は広がりをみせている。
 

(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。