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2020年9月の事業承継M&Aマーケット概況 ~MBO(経営陣による会社の経営権や事業権の取得)による上場企業の非上場化〜

月刊事業承継M&Aレポート

2020.11.02

2020年9月公表のM&A件数は284件で前年同月比2.7%の減少となった。マーケット別ではIN-INが228件で前年同月比0.4%増、一方、IN-OUTは32件、同28.9%減、また、OUT-INは24件で前年同月比20.0%増であった。同月の公表ベースの事業承継M&Aは47件(注1参照)であった。この中には、以下のようなMBO(経営陣による会社の経営権や事業権の取得)による上場企業の非上場化があった。

ドラッグストア中堅のキリン堂ホールディングス(以下「キリン堂HD」)の寺西豊彦社長と寺西忠幸会長は、米国投資ファンドのベインキャピタルと共同で、キリン堂HDをMBOにより買収すると発表した。ベインキャピタルが投資助言を行うファンドが100%出資するBCJ-47(東京都)が全額出資で設立したBCJ-48(東京都)を通じてTOBを実施する。寺西社長の親族である寺西俊幸氏ら2人は計7.54%を応募する。寺西会長は1.12%を応募し、残り3.78%は応募しない。キリン堂HDは東証1部上場廃止となる。寺西社長と寺西会長は継続してキリン堂HDの経営にあたる。キリン堂HDは売上高営業利益率3%の目標を達成すべく単独で経営努力をしてきたが、上場企業として売上や利益を確保しながら構造改革を行うことには限界があると判断した。継続的な既存店売上の強化や新規出店に加えてM&A実行の両輪からなる事業構造改革を進める。


2020年1-9月の事業承継M&Aの中で、上記のようなMBOによる上場会社の非上場化は6件あった。同様のケースは2019年1件にとどまっており、これに鑑みれば、上場を廃止することで株主からの短期的な視点にたった要請等に応えるための負担を排し、長期的な視点で構造改革を進めようとする企業が増えていることを示唆している。

 

(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。

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