2021年2月公表のM&A件数は330件で前年同月比0.9%の増加となった。マーケット別ではIN-INが260件で前年同月比2.8%増、一方IN-OUTは48件、同25.0%減、また、OUT-INは22件で前年同月比120.0%増となった。2月の公表ベースの事業承継M&Aは46件(注1参照)であり、前年同月比では6.1%減少した。2月の案件の中には電機、機械といった加工型といわれる製造業を対象とする例が5件みられた。


 化粧品や健康食品のネット通販の北の達人コーポレーションは、家庭用電化製品など製造販売のASHIGARU(大阪市)を5月に買収する。代表取締役から全株式を取得する。同社は2018年3月設立、売上高約3億4100万円。オリジナルヘアアイロン「SALONMOON」を各種ECモールで販売している。北の達人コーポレーションはASHIGARUが有する美容家電シャンルの商品開発、ECモールでの販売ノウハウに自社の経営リソースを投入することで、「SALONMOON」シリーズの販売拡大、美容家電ジャンルの新規開拓により、事業拡大を図る。


 IoTインテグレーション事業を手掛けるエコモットは、電気・電子回路設計などのフィット(札幌市)を買収する。個人2人から全株式を取得する。同社は2005年設立、売上高1億3200万円。電気・電子回路設計、機械設計、ソフトウェア開発設計を主な事業領域とする。直近では生体認証を活用したセキュリティ機器の販売・設置事業を開始している。今後、電気・電子回路設計部門のなかでも画像・通信(5G)分野を注力領域に掲げている。エコモットはグループのサプライチェーンに組み込む形で協業を図る。


 先月(2021年1月)、「事業領域拡大に向けた例」を2件紹介したが、今月紹介したケースも同様に事業領域拡大や技術力の強化を目的とするものである。商品のライフサイクルや技術の進歩にかかる時間は、より短期化していると言われており、「時間を買う」ためにも同様のM&Aは今後も活発に行われると考えられる。


(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。