2019年1月公表のM&A件数は292件あり、前年同月比で18.2%の増加となった。マーケット別では、IN-INが200件で前年同月比5.8%増、IN-OUTは75件で前年同月比56.3%増となった。また、OUT-INは17件で、前年同月比70%の大幅増となった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは47件(注1参照)あり、前月(2018年12月)に引き続き月間ベースでは高水準の件数となった。以下は2019年1月の事業承継M&A件数の中で約3割を占めたソフト・情報業界の案件事例である。レコフデータが集計を開始した2008年以降の事業承継M&A件数の中で、ソフト・情報業界の案件数はレコフデータ分類の40業種中、最も多い。
 

 

京セラの子会社でICT、通信エンジニアリング事業などの京セラコミュニケーションシステム(KCCS、京都府)は、ディープラーニング、機械学習を用いたシステム受託開発、データ解析ベンチャーのRist(東京都)を買収した。全株式を取得した。一部報道では金額は5億円強。同社は2016年8月設立。特に製造業での目視検査の自動化を得意とする。KCCSはディープラーニングを用いた画像認識システムを技術検証からシステム開発、導入までワンストップで提供している。画像認識システム提供の技術力強化、スピードアップを図る。
 

 

システム構築のアイクラフト(兵庫県)は、データエントリー受託、ソフトウェア開発などのアレスクリエイション(大阪府)を買収した。全株式を取得した。同社社長の健康状態に配慮し、アイクラフトの代表取締役が社長に就いた。アレスクリエイションは機密性の高い個人情報の入力や正確性が求められる分野のデータエントリーを得意とする。データ入力業務はアイクラフトのベトナム法人でも行っている。アイクラフトはアレスクリエイションの特徴を活かし、業務の分担を行う。グループ売上高12億円、従業員140人(パート、アルバイトを含む)となる。
 

 

事業承継M&A市場では、年間件数で過去最多を記録した2018年の勢いが続いており、2019年1月に公表された案件数は47件と、1月としては過去最多となった。中でもソフト・情報業界のM&Aが活発なのは、ソフト・情報に関連する技術の発展が社会的な要請であることを映しているものと思われる。デジタル化やIoT、AI等、技術が加速度的に進化している中、既に一定のステータスを築いてはいても自社にはない技術や有望な技術を取り込み、新たな価値を創り出そうとする企業は多いと思われ、こうした企業にとって事業承継M&Aは有効な手段になると考えられる。

 

 

(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A
ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。