2019年12月公表のM&A件数は383件であり前年同月比3.5%の増加となった。マーケット別では、IN-INが297件で前年同月比16.0%増、一方、IN-OUTは66件で前年同月比27.5%減、そしてOUT-INは20件で前年同月比13.0%減であった。このうち公表ベースの事業承継M&Aは72件(注1参照)であり、この中でソフト・情報業界に属する企業に関連するM&Aが16件あった。以下はサービス拡充などを目的とした買収の例である。

 投資家向けの情報メディアなどを運営するミンカブ・ジ・インフォノイドは、REIT情報ベンダーのProp Tech plus(PT+、東京)を買収する。アント・キャピタル・パートナーズが運営するアント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合、社長等から12億9200万円で66.73%の株式を取得する。PT+は2013年設立。個人投資家向けJ-REIT情報ポータル「JAPAN REIT.COM」を運営するほか、REIT事業者向けに不動産ファンド運営でのシステム開発・Web構築やREITデータベースの提供を行っている。ミンカブは金融情報分野でのカバレッジの拡充、新規事業の開拓に取り組む。
 

 AIを活用した不動産関連サービスを提供するGA technologiesは、高級賃貸サービスサイト「Modern Standard」運営のモダンスタンダード(東京)を買収した。代表取締役から67%の株式を取得した。株式交換を実施し、完全子会社化する。簡易株式交換となる。モダンスタンダードは7万人の会員数を有する。GA technologiesは2019年9月に全額出資子会社のイタンジを通じてセルフ内見型お部屋探し(賃貸)サイトのサービス提供を開始した。クロスセルを通じたサービス提供機会の拡大を狙う。

 さて、レコフM&Aデータベース((株)レコフデータ提供)によると、2019年12月の事業承継M&A(公表ベース)72件は月間件数としては過去最多となった。また、年間でも2019年は616件となり2018年の546件を上回って過去最多を更新した。2019年のM&A全体の件数は4,088件と過去最多を更新したが、事業承継M&Aの増加はベンチャー投資や上場会社による子会社売却の活発化などとともに件数全体の増加要因の一つとなった。

 

(注1)M&A件数は、株式会社レコフデータがニュース・リリース等公表資料などから集計しているデータによる
IN-IN:日本企業同士のM&A
IN-OUT:日本企業が当事者1(買い手)、外国企業が当事者2(売り手)となるM&A
OUT-IN:外国企業が当事者1(買い手)、日本企業が当事者2(売り手)となるM&A

ここでは公開情報から収集した「売り手の経営者や個人株主が株式の大半あるいは一定規模を売却した案件(オーナー系企業売却案件)」を事業承継M&Aと定義。
ただ、事業承継M&Aは捕捉不可能な未上場企業同士の非公開案件が多く、実際の件数はこの数倍と言われている。
公表ベースでデータを収集しており、未完了案件を含む。