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業界別M&A
カフェ事業は飲食業界の中でも比較的好調を維持していて、新しいビジネスチャンスを求めて新規参入する企業が多い業態です。店舗の立地確保や事業承継などを目的としたM&Aも活発に行われています。
カフェ事業を営む方や新規参入を考えていて、カフェ事業のM&Aについて詳しく知りたい方も多いでしょう。
カフェ事業のM&Aを検討している方に向けて、カフェ事業の概要・特色からM&Aの主なスキームと動向、売却相場や成功のポイントまでを徹底解説します。
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カフェ事業とは、コーヒーなどの飲み物やスイーツ、軽食類を提供する飲食店のことです。
「カフェ」という言葉は本来、フランス語でコーヒーを意味していて、時代とともにコーヒーを提供するお店そのものをカフェと呼ぶようになりました。
日本では、カフェに近い店舗形態に「喫茶店」があります。従来、カフェ事業は「飲食店営業許可」が必要であり、喫茶店事業は「喫茶店営業許可」が必要という違いがありました。
しかし、2021年6月の食品衛生法改正で喫茶店営業許可が廃止され、飲食店営業許可に統合されたことにより、カフェと喫茶店には法的な違いがなくなっています。
一般的には、カフェも喫茶店も「コーヒーを飲めるお店」として認識されており、カフェを指して喫茶店と呼んでも間違いではありません。

カフェ事業のM&Aを考える場合は、カフェ事業が持つ特色を理解することが大切です。カフェ事業は飲食業界の中でも特徴的なポイントがいくつもあり、M&Aやその後の経営の成功を左右します。
ここからは、カフェ事業の経営にかかわるポイントや課題を6つ紹介します。
カフェ事業はコーヒーがメイン商品となっており、軽食類よりもコーヒーのメニュー数のほうが多い傾向にあります。
食事メニューが中心となるレストランや居酒屋と比べて、コーヒーのメニュー数で集客できるカフェ事業は参入障壁が低いことが特徴です。
そのため、法人による大型のチェーン店だけでなく、個人による小規模な店舗も多くなっています。
一般的なカフェの原価率は20~30%程度と言われており、飲食店経営の中では原価率が低いほうに分類されます。
しかし、居酒屋でのお酒のようにおかわりをするお客様はカフェでは少ないため、原価率が低いにもかかわらず高い利益が出せるとは限りません。
飲食店の分類においてカフェは薄利多売の傾向にあり、十分な利益を上げるにはお客様の回転率を高めることが重要となります。
立地が重要となることは、カフェに限らず飲食店全般に共通する事項です。
しかしながら、カフェに入店するお客様は「ちょっとした休憩」や「時間つぶし」「待ち合わせ」を目的とする方が多いため、立地がより重要視されます。特に駅近や学校・オフィスが立ち並ぶエリアが人気です。
しかし、駅や学校・オフィスへのアクセス性が良いエリアは家賃が高い傾向にあります。カフェの経営では、立地のよさと家賃とのバランスを考える必要があるでしょう。
IT・デジタル技術が急速な成長を遂げている近年、モバイルオーダーやフードデリバリーといったデジタルマーケティングを導入するカフェも増加しつつあります。
デジタルマーケティングは、新型コロナウイルスの影響によって大打撃を受けた飲食店業界が業績回復を果たした要因の1つです。
デジタルマーケティングはお客様の利便性向上にも繋がるため、今後のカフェ事業においてデジタルマーケティング導入は欠かせない施策と言えます。
カフェ事業は参入障壁の低さから新規参入が多いものの、事業者数の大幅な増減がなく新規開業と廃業が拮抗しています。カフェ・喫茶店同士はもちろん、ファーストフード店やコンビニなどともお客様を奪い合うため、常に激しい競争状態にあることが実情です。
カフェが集客に成功して安定的な売上を得るには、トレンドに合わせたビジネスモデルを構築する必要があります。トレンドを把握しないままカフェ事業をしていても、廃業危機に陥りやすくなる点に注意しましょう。
実際、帝国データバンクの調査によると、2024年度は過去最多ペースで喫茶店が倒産しています。
(出典:帝国データバンク「「喫茶店」の倒産動向(2024年度)」/
https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250305_coffee/)

カフェ事業の買収・売却スキームは、主に「居抜き」と「M&A」の2つに大別できます。M&Aのスキームはさらに「事業譲渡」と「株式譲渡」に分けることが可能です。
「居抜き」「事業譲渡(M&A)」「株式譲渡(M&A)」の3つについて、それぞれどのようなスキームなのかを解説します。
居抜きは、カフェ店舗内の造作(設備・内装・什器など)を残したままの状態で、次の賃借人へと店舗を引き渡す手法です。居抜きで造作ごと店舗を引き渡す場合は、次の賃借人との間で譲渡する造作の内訳や譲渡金額などを交渉して、造作譲渡契約を締結します。
居抜きによる譲渡は自己所有物件のカフェだけでなく、賃貸物件でカフェを営業している場合も、オーナーの承諾を得れば選択できる方法です。
一般的に賃貸物件を退去する際は、造作などを撤去する原状回復工事が必要となります。しかし、居抜きによる譲渡が成立すれば造作の撤去が不要になり、原状回復工事にかかる費用を節約できます。
事業譲渡は、カフェ事業に関連する建物・造作・在庫やブランド・商標などを、買収側に譲渡する手法です。売却側が譲渡の対価(現金など)を受け取り、買収側はカフェ事業を引き継いで経営するという取引になります。
事業譲渡では、譲渡する内容や譲渡条件などを売却側・買収側で協議して、資産や権利について個別に譲渡の手続きを行う必要があります。債務や雇用契約も引き継いでもらうには買収側の同意が必要であり、手続きに手間がかかることが特徴です。
また、飲食店営業許可は買収側に引き継がれないため、買収側がカフェを経営するには飲食店営業許可を新たに取得する必要があります。
株式譲渡は、売却側が保有している自社株式の51%~100%を買収側へと譲渡する手法です。株式譲渡を行った売却側は、買い手企業の子会社となります。
株式譲渡は経営権を譲渡する手法であり、資産や契約・権利などは売り手企業に残る点が特徴です。カフェのM&Aで株式譲渡を選択すると、売り手企業は買い手企業の参加に加わる形で存続し、新たな経営陣の下でカフェ経営を続けられます。
なお、個人経営のカフェは株式を発行している法人ではないため、M&Aの手法として株式譲渡は選択できません。

近年、カフェ事業においてM&Aが活発に行われています。カフェ事業のM&Aが活発化している理由としては、新規参入のしやすさや競争の激しさが挙げられるでしょう。
ここからは、カフェ事業のM&A動向を3つに分類して、それぞれがどのようなM&Aであるかを解説します。
カフェ事業者同士で、好立地の物件確保を目的とした同業種M&Aが行われています。好立地のカフェは集客がしやすく、利益を上げやすいことがM&Aが盛んな理由です。
売り手にとっても、好立地のカフェは高価格帯での売却が期待できます。小規模カフェから大手チェーン店への株式譲渡・事業譲渡が、好立地の物件確保で見られるM&Aスキームです。
カフェ事業は個人経営や小規模経営のお店が多く、経営の維持・拡大に向けた施策を打ち出せるほどの資金力がなかったり、後継者がいなかったりするケースがあります。
廃業の危機に陥っているカフェ経営者が選択するケースが、廃業の回避を目的とした同業種M&Aです。事業譲渡などで資金や経営支援を得て、カフェ事業の継続を目指します。
M&Aによって廃業を回避すると、従業員の雇用も守ることが可能です。
カフェ事業者と他業種とのM&Aでは、ブランディングの構築を目的としているケースが多く見られます。カフェ事業は他業種も参入がしやすく、カフェ経営によって本業のブランドイメージを高めるという手法です。
ブランディングの構築が目的の他業種M&Aでは、立地が良いことはもちろん、オシャレな造作や話題のメニューがあるカフェがM&A候補として人気となります。

カフェ事業の買収・売却における価格相場は、選択したスキームによって異なります。買収・売却価格で後悔しないためにも、価格相場を踏まえた上でスキームを選ぶと良いでしょう。
カフェ事業の買収・売却スキームである「居抜き」と「M&A(事業譲渡・株式譲渡)」について、それぞれの買収・売却相場と価格を左右するポイントを解説します。
小規模なカフェを居抜きで買収・売却した場合の価格相場は、100万~250万円程度です。ただし、カフェの条件が良好であれば500万円以上の価格になることもあります。
居抜きの買収・売却価格を左右するポイントは、主に下記の4つです。
条件が良い物件ほど集客性が期待できて、買収・売却価格も高くなります。
小規模なカフェをM&A(事業譲渡・株式譲渡)で買収・売却した場合、価格相場は数百万~1,000万円程度が目安です。
M&A(事業譲渡・株式譲渡)では、居抜きで紹介した4つのポイントに加えて、下記の要素が買収・売却価格を左右します。
M&Aは買収・売却価格に影響する要素が多く、居抜きの場合よりも価格の幅が広くなっています。

カフェ事業のM&Aを成功させるためには、カフェ事業のM&A事例を参考にするのも有効です。
事例ではどのような企業がM&Aを行ったか、M&Aの目的は何かを確認して、自社が行うM&Aの参考としましょう。
カフェ事業における主なM&A事例を4つ紹介します。
株式会社サンマルクホールディングスは2024年4月、株式会社倉式珈琲を吸収合併しました。
| 譲渡(売り手)側 | 株式会社倉式珈琲 |
|---|---|
| 譲受(買い手)側 | 株式会社サンマルクホールディングス |
| M&Aの目的 |
|
| M&Aのスキーム | 吸収合併 |
株式会社倉式珈琲はもともと、株式会社サンマルクホールディングスの完全子会社です。株式会社倉式珈琲はフルサービス喫茶業態での収益化が難しくなっており、ビジネスモデルの再構築が課題となっていました。
本合併で株式会社倉式珈琲は倉式珈琲事業部となって、フルサービス喫茶業態の可能性を追求するとしています。
株式会社シャノアールと珈琲館株式会社は2021年4月に合併し、新社名をC-United株式会社としました。
| 譲渡(売り手)側 | 株式会社シャノアール、珈琲館株式会社 |
|---|---|
| 譲受(買い手)側 | C-United株式会社 |
| M&Aの目的 |
|
| M&Aのスキーム | 新設合併 |
株式会社シャノアールは1965年創業、珈琲館株式会社は1970年創業と、いずれも歴史のあるカフェです。2社の合併により生まれたC-United株式会社は、全国で7ブランド・400以上の店舗を展開することになり、より良い店舗体験の提供を目指しています。
ロート製薬株式会社とカフェ・カンパニー株式会社は2021年8月、資本業務提携を締結したことを発表しました。
| 譲渡(売り手)側 | カフェ・カンパニー株式会社 |
|---|---|
| 譲受(買い手)側 | ロート製薬株式会社 |
| M&Aの目的 |
|
| M&Aのスキーム | 資本業務提携 |
カフェ・カンパニー株式会社は「⾷を通じたコミュニティの創造」を企業理念に掲げ、カフェ経営やイートテックの推進を行う企業です。
ロート製薬は一般用目薬の開発・販売を中心に、人々の健康を支えるアプローチを行っている企業です。
カフェ・カンパニー株式会社がロート製薬株式会社へと第三者割当で株式を発行し、ロート製薬の持分法適用会社となる形で、資本業務提携を行っています。
株式会社JBイレブンは2018年7月、株式会社ハートフルワークの全株式を取得して子会社化しました。
| 譲渡(売り手)側 | 株式会社ハートフルワーク |
|---|---|
| 譲受(買い手)側 | 株式会社JBイレブン |
| M&Aの目的 |
|
| M&Aのスキーム | 株式譲渡 |
株式会社ハートフルワークは、コメダ珈琲店フランチャイズ店舗を運営する企業です。
株式会社JBイレブンは、飲食店経営のコンサルティングなどを事業として行う企業です。
株式会社JBイレブンは、本M&Aがグループの規模および収益機会の拡大につながるとしています。

カフェ事業のM&Aは事業そのものや経営権をやり取りする取引であり、M&Aの失敗は巨額の損失につながる可能性があります。M&Aを実施する際はいくつかのポイントを押さえることが大切です。
最後に、カフェ事業のM&Aを成功させるために押さえておきたいポイントを4つ紹介します。
買収側・売却側ともに、自社がM&Aを行う理由を明確にしておきましょう。
カフェ事業におけるM&Aの理由は企業によってさまざまです。買収側の理由としては「カフェ事業の拡大」「新規参入」、売却側の理由は「事業売却による資金獲得」「事業の後継者探し」などが挙げられます。
M&Aの理由を明確にしておくことで、M&Aで達成すべき目的もはっきりとして、スキームの選択や買収・売却価格の決定を適切に行えます。
カフェ事業の売却側は自店舗の強み・弱みを洗い出して、買収側に伝えましょう。
自店舗が持っている強みは買収側にとって魅力的に映り、売却額の増加につながる可能性があります。独自のメニュー・コンセプトやコーヒーへのこだわりなどが、カフェ事業における強みです。
強みが集客力や売上に反映できている場合は、データとしてまとめておくことがおすすめです。
また、弱みを洗い出すと自社が抱えるリスクを買収側へとあらかじめ伝えられて、デューデリジェンス時の問題提起や買収額の減額を避けられます。
買収側は、売却側のカフェ事業がどのような経営状態にあるかをしっかり確認することが重要です。
カフェ事業は競争が激しく、経営状態が芳しくない店舗も存在します。集客が困難な場合や人材不足の場合、買収してもカフェ経営ができず、失敗するリスクが高まります。
M&Aの交渉やデューデリジェンスにおいて、売却側の財務状況や経営情報・人材情報などを確認しておくことで、M&Aの失敗を避けられます。
カフェ事業の売却側が行うべき「自店舗の強み・弱みの洗い出し」や、買収側に必要な「相手先の経営状態の把握」は、独力で行うことは簡単ではありません。
M&Aを成功させるポイントを実践するには、M&Aの知識が豊富な専門家に相談すると良いでしょう。
M&Aの専門家はM&Aアドバイザーや金融機関、弁護士などの候補があります。中でもM&AアドバイザーはM&Aの専門知識と確かな実績があり、M&Aの相談先としておすすめです。
カフェ事業の主な買収・売却スキームは、居抜きとM&Aです。特にM&Aは、激しい競争での生き残りや、新規参入のための方法として活発に行われています。
カフェ事業のM&Aを成功させるには、M&Aの専門家への相談がおすすめです。専門家に相談することで、買収側・売却側のどちらもポイントを押さえてM&Aを進められます。
株式会社レコフでは、お客様の戦略に沿ったM&Aのサポートを提供しております。カフェ事業のM&Aで悩みや課題を感じている方は、株式会社レコフにご相談ください。
監修者プロフィール

株式会社レコフ リサーチ部 部長
澤田 英之(さわだ ひでゆき)
金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。
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