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業界別M&A
パーソナルジム業界は、近年その市場が拡大しており、多くの新しいジムが登場しています。個別指導のニーズが高まり、若年層を中心に人気が上昇している一方で、競争も激化している状況です。多くの経営者が新たな戦略を模索する中、有効な手段の1つ注目されているのがM&Aです。
当記事では、パーソナルジム業界の現状と今後の動向、M&Aによるメリット、そして成功させるためのポイントについて詳しく解説します。パーソナルジム業界で成功を目指す方はぜひ最後までお読みください。
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事業承継・譲渡売却はパーソナルジムとは、トレーナーがマンツーマンで個別にトレーニングを指導するジムのことです。
一般的なスポーツジムでも、トレーナーからアドバイスを得ることは可能ですが、基本的に利用者が自分でトレーニングメニューを考え、自主的にトレーニングを行います。一方、パーソナルジムでは、専属のトレーナーが利用者の目標に合わせてメニューを組み、指導を行います。
パーソナルジムの特徴は、個別指導や食事指導が含まれる点です。会費は通常のスポーツジムより高めですが、その分個別のサポートが充実しています。トレーニングだけでなく、食事や栄養管理のサポートも行い、利用者が目標を達成しやすい環境を提供します。これにより、初心者でも安心してトレーニングに取り組むことが可能です。
パーソナルジムは、忙しいビジネスパーソンや、目標達成に向けてしっかりとサポートを受けたい方に人気があります。
パーソナルジムには、大きく分けて「短期集中型」と「継続型」の2つのスタイルがあります。
●短期集中型
短期集中型のパーソナルジムは、3か月間などの短期間でダイエットや筋肉増加を目指すスタイルです。厳しいトレーニングと食事制限を行い、最速で最大の成果を得ることを目指します。利用者が高いモチベーションを持ち、集中的に取り組めば、目に見える成果が得られます。
●継続型
継続型のパーソナルジムは、長期間に渡ってトレーニングを継続するスタイルです。月額制や通い放題のサブスクプラン、回数券や都度払いのチケットプランなど、様々なプランが用意されています。短期的な成果よりも、トレーニングを生活習慣に取り入れることや、健康維持を目的とした方に選ばれるジムです。
いずれかのスタイルに特化したパーソナルジムもあれば、双方のスタイルから選べるパーソナルジムもあります。
パーソナルジムの市場は拡大傾向にあり、全国の店舗数も増加しています。この成長の主な要因の1つは「コンディショニングの需要が高まっていること」 です。コンディショニングとは、身体の状態を整え、最適なパフォーマンスを引き出すためのトレーニングやケアを指します。
近年、スポーツやフィットネス業界では、これまでのパーソナルトレーニングを超えて、より専門的で高度なアプローチを求める声が増えています。そのため、パーソナルトレーナーだけでなく、コンディショニングトレーナーが注目されつつある状況です。
また、働き方改革でリモートワークが増えたことも市場拡大の一因です。リモートワークにより、運動不足や健康に対する懸念が増加しました。結果、自宅での運動不足を解消し、健康を維持するためにパーソナルジムを利用する方が増えています。特に、自宅近くやオンラインでのトレーニングを提供するジムが人気を集めています。
このように、パーソナルジム市場の拡大は、コンディショニングの需要の高まりや働き方の変化に伴う健康意識の向上によるものです。今後もこれらのトレンドは続くと予測され、パーソナルジムの市場規模はさらに成長するでしょう。
パーソナルジム市場は拡大傾向にあり、店舗数も増加しているものの、同時に多様な課題を抱えています。持続可能な成長を実現するためには、課題を理解した上で対策を立て、戦略的に動かなければなりません。
ここからは、パーソナルジム業界が抱える4つの課題をそれぞれ説明します。
パーソナルジムは、個別指導を基本とするビジネスモデルであるため、スケールメリットが生まれにくいという課題があります。 従来の大規模なスポーツジムでは、会員が増えるほど利益率が上がる仕組みです。しかし、パーソナルジムでは個々の利用者に対して専属のトレーナーが必要となるため、会員が増えればトレーナーの数も増やさなければなりません。
会員数の増加に比例してコストも上がるため、収益を大幅に増やすのは難しい事業形態です。
パーソナルジムの成功は、トレーナーの質に大きく依存します。パーソナルジムの売りは、優れたトレーナーによるマンツーマンのサポートです。トレーナーの質が低ければ利用者の満足度も低くなり、リピーターを増やすことが難しくなります。 しかし、トレーナーの質を維持し続けるのは容易ではありません。トレーナーの育成には時間とコストがかかる上、優秀なトレーナーが他のジムに引き抜かれるリスクもあります。
経験豊富なトレーナーの確保も、パーソナルジム業界にとって大きな課題です。優秀なトレーナーは、パーソナルジムの付加価値の源泉であり、彼らの存在がジムの評価や利用者の満足度に直接影響します。しかし、そのようなトレーナーを見つけることは容易ではありません。 市場が拡大する中で、トレーナーの需要は増加しており、優秀な人材の取り合いが激化しています。また、経験豊富なトレーナーは独立して自身のジムを開業することも多く、人材の長期的な確保は難しいと言えるでしょう。
パーソナルジムの市場は拡大傾向にあるものの、消費者からの認知度は依然として低いのが実情です。多くの方がパーソナルジムの存在を知っていても、そのサービス内容や価値を十分に理解していないため、利用をためらう傾向があります。
特に、パーソナルジムは一般的なスポーツジムに比べて客単価が高いため、費用面での警戒心が強い消費者も少なくありません。業界が成長過程にあるからこその認知度の低さは、パーソナルジムを経営する上での課題の1つと言えるでしょう。
パーソナルジムには課題も多いものの、綿密に戦略を練って経営に乗り出せば、成功を掴める業界でもあります。 今後のパーソナルジム経営においては、多様化するニーズに対応したサービスの提供や優秀なトレーナーの十分な確保、競合との差別化が必須です。ここからは、パーソナルジム業界に求められる施策を詳しく説明します。
パーソナルジム業界では、従来の筋力トレーニングやダイエットだけでなく、健康維持やリハビリ、ストレス解消など、様々な目的を持つ利用者が増えてきました。これに対応するには、幅広いサービスの提供が求められます。 例えば、ヨガやピラティス、HIITなど、異なる種類のトレーニングの導入です。また、オンライン指導やリモートトレーニングの需要も増えており、場所や時間に制約がある利用者を取り込むのも大切です。さらに、個々の利用者に合わせたカスタマイズ可能なプランを提供すれば、利用者の満足度をより向上できるでしょう。
パーソナルジムの成功には、優秀なトレーナーの存在が不可欠です。トレーナーの質がジムの評判や利用者の満足度に直結するため、高い指導力と専門知識を持ったトレーナーを確保しなければなりません。しかし、経験豊富で実績のあるトレーナーは限られており、競争が激しい状況です。
トレーナーの確保と維持には、魅力的な労働環境を提供し、トレーナーのモチベーションを高める施策が求められます。また、トレーナーのスキルアップやキャリアパスの構築も大切です。
競争が激化するパーソナルジム市場で生き残るには、競合との差別化が欠かせません。差別化戦略としては、特定のターゲット層や分野に特化したサービスの提供が考えられます。例えば、女性専用のトレーニングプログラムや、高齢者向けのリハビリトレーニングなどです。
また、設備や環境の充実も重要です。最新のトレーニング機器を導入し、清潔で快適なトレーニング環境を提供すれば、利用者の満足度は高まります。さらに、SNSやウェブサイトを活用した情報発信や無料体験キャンペーンを通じて、パーソナルジムの魅力を広く伝えるのも効果的です。
パーソナルジムが抱える課題の解決や経営の効率化を図るのに、M&Aは有効な手段の1つです。パーソナルジムは、スケールメリットが生まれにくいビジネスモデルや優秀なトレーナーの確保の難しさなど、多くの課題を抱えています。M&Aの活用により、これらの課題解決と事業成長を目指すことが可能です。
そもそも、パーソナルジムはM&Aを実行しやすい業態と言われています。小規模での売買が可能なため、低リスクで事業を拡大できる点が魅力です。 また、近年では同業種だけでなく、異業種とのM&Aも増加しています。例えば、食品メーカーやサプリメント業界など、健康や栄養管理に関心のある業界との親和性が高く、こうした異業種との連携が市場拡大の一助となっています。
パーソナルジムのM&Aは、様々な課題を解決し、経営を安定させるための効果的な手段です。 それでは、M&Aを選んだ場合、譲渡(売り手)側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下では、パーソナルジムのM&Aによる「譲渡(売り手)側」の4つのメリットについて解説します。
パーソナルジムのM&Aによって、譲渡側は売却益を獲得できます。売却価格はジムの規模や立地、顧客基盤の強さ等に依存しますが、数百万円~数千万円の範囲で取引されるケースが一般的です。
例えば、個人経営の小規模なパーソナルジムの場合、200万~250万円程度が売却価格の相場です。売却益は、新たな事業の立ち上げや引退後の生活資金として活用するほか、経営者が個人で抱える保証や担保を解消することもできるでしょう。
M&Aを通じて大手企業の傘下に入ることで、経営の安定化や事業の拡大が期待できます。中小規模や個人経営のパーソナルジムは、資金力や経営リソースの不足が課題となるケースが少なくありません。大手の資本力を利用できれば、これらの課題を解決できます。 さらに、大手のブランド力やマーケティング力を活用することで、新たな顧客層の獲得や新たな市場への参入、サービスの質向上が図れます。これにより、安定した収益を確保し、さらなる成長を目指せるでしょう。
パーソナルジムのM&Aは、顧客からの信頼を維持・向上させるための有効な手段です。特に、買い手が既に評判の良いジムであり、従業員も引き継がれる場合、顧客は安心して利用を継続できます。大手企業の傘下に入れば最新の設備や技術を導入しやすくなり、より効果的なトレーニングを提供できるでしょう。
これにより、顧客満足度が高まり、リピーターの増加も期待できます。顧客から愛されるジムには優秀なトレーナーが集まりやすく、より良いサービスを提供できるようになるのもメリットです。
経営者が高齢化や健康問題などで引退を考える際、適切な後継者が見つけられないのは、パーソナルジム業界でも大きな課題です。M&Aを通じて事業を譲渡することで、後継者問題の解決と事業の継続が可能となります。 また、人材不足に悩むパーソナルジム業界では、従業員ごとの事業譲渡はそう難しくありません。M&Aによって雇用を守ることができれば、従業員のモチベーションも維持できるでしょう。これにより、パーソナルジムの存続と発展を図ることが可能になります。
パーソナルジムのM&Aは、譲受(買い手)側にも、新規事業への低リスク参入や既存事業の強化、異業種とのシナジー効果といった多くのメリットをもたらします。これらのメリットを最大限に活用すれば、企業の成長と競争力の向上が期待できるでしょう。
以下では、譲受(買い手)側のメリットを3つ紹介します。
パーソナルジムをゼロから立ち上げる場合、施設の設立やトレーナーの採用、顧客の獲得など、多くの時間と費用をかける必要があります。しかし、既に実績のあるパーソナルジムを買収すれば、初期段階のリスクを大幅に軽減できます。
優れたトレーナーや高品質な設備、既存の顧客基盤をそのまま引き継ぐことができれば、新規事業を迅速に軌道に乗せることが可能です。特に、フィットネス業界に初めて参入する企業にとって、M&Aは非常に効率の良い手段と言えるでしょう。
既にフィットネス事業を展開している企業にとって、パーソナルジムのM&Aは事業の強化に直結します。例えば、フィットネスクラブがパーソナルジムを買収すれば、個別指導のサービスを充実させ、顧客に対する付加価値を高められるでしょう。
また、フランチャイズ展開を検討する場合も、優良なパーソナルジムのノウハウを取り入れ、他店舗にその成功モデルを適用できます。
パーソナルジムのM&Aは、異業種とのシナジー効果を生み出す可能性があります。例えば、食品メーカーやサプリメント企業によるパーソナルジムの買収なら、健康やダイエットに関連する商品の販売促進です。パーソナルジムの顧客層は健康意識が高いため、これらの関連商品を提案すれば売上を拡大できるでしょう。
また、スポーツウェアメーカーがパーソナルジムを買収した場合、自社製品を直接顧客に試してもらう場を提供し、ブランドの認知度を高めることができます。
パーソナルジムのM&Aを成功させるためには、いくつかの重要なポイントを把握しておかなければなりません。 特に押さえるべきなのは、従業員と顧客の流出を防ぐことと資産情報を透明化すること、及び専門家の手を借りることです。
ここからは、M&Aを実施する際の3つのポイントを紹介します。
パーソナルジムのM&Aでは、従業員と既存顧客の流出防止が最重要課題です。M&Aが公表されると、従業員が退職や転職を検討するケースが少なくありません。この状態を放置し、優秀なトレーナーが退職してしまうと、ジムの価値が大きく損なわれる可能性があります。
そのため、M&Aの発表後は、従業員に対して新体制や今後の処遇について丁寧に説明し、不安を取り除く努力が必要です。同様に、既存顧客に対しても、M&Aによるサービスの継続や向上についてしっかりと説明し、信頼関係を維持しなければなりません。
M&Aをスムーズに進めるには、企業の資産情報の整理が必須です。資産情報をきちんと整理し、正確なデータを提供することで、M&Aプロセスがスムーズに進行します。現金・株式・設備・債権など、すべての資産情報を正確に把握し、会計上適切に処理しておかなければなりません。
また、無形資産である従業員のスキルやノウハウ、顧客リスト、ブランド価値も整理しておくことが重要です。買い手が企業の全体的な価値を正確に評価できれば、M&A交渉を有利に進めやすくなります。
M&Aを成功させるには、専門家の力を借りることも重要です。M&Aには多くの専門的知識や経験が必要です。交渉や契約書の作成、デューデリジェンスなど、多岐にわたる作業をこなさなければなりません。
専門家は、適切な買い手を見つけるためのネットワークを持ち、交渉の進め方や契約のポイントについて的確なアドバイスを提供します。また、M&Aプロセス全体を管理し、リスクを最小限に抑えるための戦略を立てるプロです。
M&Aの複雑なプロセスをスムーズに進めるためにも、ぜひ専門家のサポートを受けましょう。
パーソナルジムの市場は拡大している一方で、課題も抱えている会社が多く、経営の効率化や成長を図るためにM&Aが重要な手段となっています。M&Aの成功には、従業員や顧客の流出を防ぎ、企業の資産情報を正確に整理することが重要です。
また、M&Aの専門家に相談・依頼することで、スムーズな取引と成功率の向上が期待できるでしょう。パーソナルジムのM&Aについて詳しく知りたい方や最適なサポートを受けたい方は、ぜひ信頼と実績のある「レコフ」までお問い合わせください。
監修者プロフィール
株式会社レコフ リサーチ部 部長
澤田 英之(さわだ ひでゆき)
金融機関系研究所等で調査業務に従事後、政府系金融機関の融資担当を経て2005年レコフ入社。各業界におけるM&A動向の調査やこれに基づくレポート執筆などを担当。平成19年度農林水産省補助事業、食品企業財務動向調査委員、平成19年度内閣府経済社会総合研究所M&A究会 小研究会委員。著書・論文は「食品企業 飛躍の鍵 -グローバル化への挑戦-」(共著、株式会社ぎょうせい、2012年)、「データから見るIN-OUTの動向 -M&Aを通じた企業のグローバル化対応-」(証券アナリストジャーナル 2013年4月号、公益社団法人 日本証券アナリスト協会)など。
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